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2006年8月29日 (火)

戦場のアリア

月に1度、選りすぐりの映画を低価格で上映する、高槻市主催の『四つ星シネマ』。今月の上映作品『戦場のアリア』(JOYEUX NOEL:2005 仏・独・英合作)を観てきました。

第一次大戦下のフランス北部の片田舎、侵攻するドイツ軍、迎え撃つフランス軍、そしてフランスを援護するスコットランド軍が、三つどもえ状態で塹壕を構えている最前線地区が舞台。折りしも季節はクリスマス。泥沼化する悲惨な戦況と凍てつくような寒さで兵士達の胸の内には厭戦気分やホーム・シックが蔓延。そんなクリスマス・イヴの夜、スコットランド軍の兵士がバグパイプを奏で始めると、一流のテノール歌手だったドイツ人兵士がそれに合わせて歌いだし、フランス軍も含めた全員から喝采を浴びるというハプニングが発生。これをきっかけに、皆、武器を置いて塹壕から這い出し、三軍入り混じってクリスマスを祝い合った―という、お話し。

まるで、おとぎ話のようですが、「前線兵士達による自発的なクリスマス休戦」のエピソードは、正真正銘の史実に基づいているとか。このエピソードそのものの面白さだけでなく、監督・脚本のクリスチャン・カリオンは三軍の状況を公平な視点で描いて、どんな状況下にあっても「相手と共感する心」を失わないことの大切さを巧みに表現しています。その一方で、善良でおとなしかった青年が兄の戦死に直面して変化していく様子や、出征する若者に向かって敵の殺戮を奨励する説教を行なう高位の(キリスト教)聖職者、そして、「クリスマス休戦」を実行したことによって自国から罰を受ける兵士達などを描くことによって、単なる「クリスチャン・ワールドのオメデタイ話」に終始させない深みを、この作品に与えています。

物語の重要なポイントとして使われている音楽も素晴しく、演じる俳優達も美しくて本当に魅力的(*従軍牧師役のゲーリー・ルイスは『リトル・ダンサー』でビリー・エリオットの父親を演じた人。セリフも表情も無骨なのに、いつも何故か泣かされるんだなぁ)。

良い映画でした。

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コメント

家のすぐ近く、下高井戸の駅の向こう側に小さいけれどこぎれいでいつも空いてていつもなかなかいい映画をやるシネマがあります。 きっと今にその映画もやるでしょうから、絶対見ます。

投稿: tenko-chan | 2006年9月17日 (日) 01時07分

ええ、是非とも御覧になってみてください(*^_^*)
私は中学から大学にかけて、月に何度も映画館へ通ったものですが、この頃めっきり回数が減りました。
昨今、DVDや衛星放送やインターネットで、名画から最新作まで簡単に家で観られるようになったのは嬉しいけれど、その分、かつての名画座やミニ・シアターは、すっかり下火になってしまいました(東京では、まだ健在ですか?)。
でも、映画を家で観るかシネマで観るかは、絵画を図録で観るか美術館で観るか、くらいの違いがあるように私は思うので、『これ』という映画は、やっぱり映画館で観たいものです。
できれば今度の水曜日、ウッディ・アレン監督の『マッチ・ポイント』を観に行こうと思っています。

投稿: ふぉとみっちゃん | 2006年9月17日 (日) 21時06分

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